2020.12.28

2021年高崎映画祭についてのお知らせ

お知らせ

寒さ日増しに募る頃、皆さまにおかれましてはますますご清祥の事とお喜び申し上げます。いつも高崎映画祭に温かいご支援ご協力をありがとうございます。

さて、例年ですと2021年3月の高崎映画祭開幕に向けて受賞発表を行う時節ではございますが、この度高崎映画祭委員会では、次回の開催を見送る決定をいたしました。新型コロナウイルス感染拡大防止を鑑みての結論でございます。加えて、次回開催に向けての準備が現時点で十分に整っていないことも理由の一つに挙げられます。2022年春の開催を目指し、新しい映画祭のあり方を模索していく所存です。

2022年開催の高崎映画祭は、35回という節目の年でもあります。コロナ禍で世の中の生活様式が様変わりした後、さらに長く続けていくために、地方映画祭の役割とは何か、映画映像文化発展のために何ができるのかを今一度熟慮したいと思います。

なお、来春の開催は見送りますが、高崎映画祭としての情報発信や、上映会等の活動は年間を通して実施する予定です。状況に応じた映画との出会いを、これからも提供し続けます。今後の活動につきましては、高崎映画祭HP等で情報発信してまいります。どうぞ楽しみにお待ちいただければと思います。

 

  • 第35回高崎映画祭は2022年春開催を予定(2021年春の開催は見送り)
  • 2020年に劇場公開した作品を対象とした受賞発表も行いません
  • 第35回高崎映画祭開催の際には、2019年12月中旬から2021年12月中旬までに劇場公開された作品を対象とした受賞発表を行う予定です

高崎映画祭プロデューサーより 皆さまへ

高崎映画祭が第30回を迎える時、私は5年後の映画祭がどうあるべきかを考えていました。30年の歴史の中で、映画の環境は様々に変わってきました。社会が変わり自然が変わる中で、生活の変化は地域の映画映像文化のあり様にも大きく作用してきました。映画環境のみに関していえば、映画が35ミリフィルムからデジタルに変わり、配信に移りゆく中で、映画と人々との関わり方にも変化が見えてきました。そうした変遷の中、長きにわたって支えられてきた高崎映画祭が、今後どういった道を目指すべきなのか。30回からの5年間はその方向性をしっかりと見据える時間にしようと思い、進んでまいりました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって全世界の生活が変わった2020年、高崎映画祭は、私が数えてきた5年目の開催年でした。34回高崎映画祭は、授賞式のみを無観客で行い、予定していた上映プログラムは全て中止としました。高崎映画祭の会場で上映する機会を失いはしましたが、1年間かけて選び抜いたラインナップを皆さまにお伝えすることは出来たと思っています。

地方でなかなか見られない映画を観たい、観せたいとう初期衝動は34年変わることなくプログラムに反映されてきました。これは、観客がいる映画館(もしくは会場)で上映される映画を自分たちの足で歩いて探してくるということに繋がっています。高崎映画祭の上映作品は、基本的には劇場公開されたものから選出、もしくは自主上映で上映されていたものから選ぶことを続けてきました。新作を集めるコンペティション部門もなく、エントリー制ではないことの理由がここにあります。知らない人と肩を並べてみた一本の映画が伝えてくれるのは、決して映画の中身だけではないことを私たちは知っていたからです。

34回を終えた後、「映画をお届けする方法はいくらでもある」と思いながら、日常に追われる毎日でその新しい一手がなかなか実現できずにいました。コロナウイルスの猛威が依然として収まる兆しが見えぬ中、果たして高崎映画祭はどうあるべきかと悶々と考えておりました。

来春映画祭の一回見送りは、新型コロナウイルス禍を受けての結論です。感染拡大防止の観点に加え、私自身がこの1年間で、映画を劇場空間で見る機会が著しく減ってしまった事も大きな理由の一つです。情けない事ですが、正直に申し上げたいと思います。ここを不問にしたら、少なくともこれまでの高崎映画祭の根幹が揺らぐと、思いました。だからこそ、返って、劇場空間で映画を見ることの豊かさを、これまで以上に切実に感じました。そして、映画との新しい出会い方についてもまた考え、開眼した1年でもありました。今は映画を観に出かけられないけれども、観たい映画がある。今の時代だからこそ、そうした声に応える方法があることもわかりました。

次回開催は、高崎映画祭にとって35回になります。ここからの5年間がまた、高崎映画祭の進化形を構築する時間だと思っています。それゆえに、この35回の開催は高崎映画祭にとって大きな転換期になります。この1年間弱、ゆっくりと時間をかけて新しい映画祭の道を丁寧に作りたいと思います。その時間をいただくことをどうかご理解いただければと思います。

高崎映画祭 プロデューサー 志尾睦子

2020年12月28日