春の風物詩、高崎映画祭の時期がやってまいりました。今年もこうして皆様に第26回の開催を宣言させて頂ける歓びを感じております。
昨年の25回では、改めて多くの方々に見守られ支えられてこそ、数えられた年数である事を深く心に刻み付けて準備に入りました。大きなイベント事を組むのではなくただ粛々と身の丈にあった映画上映をしようと、そう考えておりました。そうして準備を進める中で、東日本大震災が起きました。開催2週間前の未曾有の出来事を受け、私たちが決断したのは、授賞式は中止にするけれども、映画上映は行うという事でした。当初予定されていた計画停電が期間中に実行される事なく、全プログラムを上映する事が出来たのは、本当に今にして思えば奇跡的な事だったのではないかと感じています。映画を通して私たちは、現在進行形の日本をみつめ、日常を見つめ、自分自身を見つめ、そして未来を感じる事が出来たと考えています。ただ粛々と映画を上映する、と決めた第25回の想いは、不思議な形で大きな財産となったといえます。
そして今年、26回目を迎えるにあたり、高崎映画祭は次なるステージへ駆け上がるときだと思っております。時代を映す鏡でもある映画を、どのように皆様にお届けするのか。映画を楽しんで頂き、心に留めて頂くために自分たちに何が出来るのか。そして何よりも、高崎というこの地で、映画を通して生きるということが未来に向かってどのように発展を遂げていくのか。そんな事を考えていくと、自然と街並が立体的に見えてきました。映画を楽しみ、街を楽しみ、多くの笑顔がこぼれる時間を、今年はより一層意識して第26回をスタートしたいと思います。新しい試みも数多く企画しておりますが、たくさんの方々のご協力を得て実現出来る運びとなりましたことをここに御礼申し上げます。
映画を通して私たちの人生がまた一つ豊かになる。それを信じて今年も進んでまいります。皆さまのおこしをお待ちしております。
高崎映画祭事務局 総合ディレクター 志尾 睦子 |