
高崎映画祭は今年、29度目の春を迎えます。たくさんの方々のご協力と、ご理解と、ご支援に支えられ、回数を重ねてくる事が出来ました。
今年もこうして開催出来る事は、当たり前の事ではなく、本当に小さな奇跡の積み重ねであると実感しております。この場をお借りして心よりの感謝を、申し上げます。
「人生を凌駕する映画が存在する」
1964年、当時兵役についていたビクトル・エリセ監督は、束の間の自由時間に、門限を気にしながら映画館に通っていたそうです。ある時、溝口健二監督の『山椒大夫』の上映がありました。この映画を最後まで観てしまうと門限に遅れてしまうため、時間になったら途中で帰ろう、走って帰ればいいやと思って映画を観始めたそうです。しかし、この映画に魅せられたエリセ監督は、途中退席することなく、最後まで映画を観て、そしてその感動を噛み締めながらゆっくりと歩いて帰舎したそうです。門限に遅れた事で罰を与えられ、ジャガイモの皮を一晩中むかされたそうですが、とても幸せな気持ちだったと言い、「人生を凌駕する映画が存在する」と実感したのだそうです。
映画には、力があります。映画は人生を彩り豊かにしてくれます。
人生を司る、人生を彩る映画との出会いが、皆さまにとってありますように。
心を支えてくれる映画に出会えますように。
そして、映画を通して人が繋がり、町が楽しくなり、世界が明るくなりますように。
そんな思いをこめて、今年も高崎映画祭を開催します。
素敵な春の思い出を、高崎の地でお作り頂けます事を願っております。
2015年 春
高崎映画祭 総合ディレクター 志尾睦子