Greeting

いろいろなことが変わった数年を経て、“春の高崎映画祭”を迎えられることのありがたみを感じています。今年もたくさんの映画との出会い、映画を通しての人との出会いを皆様にご提案できることが嬉しいです。この喜びを得られるのも、ひとえに、高崎映画祭を支えてくださる皆さま、期待を寄せてくださるファンの皆さまのおかげです。この場をお借りしてお礼申し上げます。
映画は時代を映す鏡だといいます。作られた映画、届けられた映画、作られようとしている映画からさまざまなことを知ることができます。いま世の中で起きていること、過去の出来事を紐解く理由、世の中が関心を寄せている題材や、各国の映画制作の現状がどうなっているのかもわかります。いまの流行は何で、流行り廃りに流されないものは何であるのかも。映画が教えてくれることは無限にあるわけですが、新作であれ、旧作であれ、ふと観ようと思った自分にとって、今その映画に触れる意味が、あるのだとも思います。
自分が過ごしてきた時間が映画の中で重なる瞬間に出会う時に、その映画の底知れぬ深みを感じます。全く違う世界に生きていても、経験したことのない出来事でも、描き出されたストーリーに深く共感したり、一瞬の主人公の表情に胸を掴まれたり、窓の外に広がる風景に何かの記憶が蘇ったり。歴史に思いを馳せるとき時空を飛び越える自分を感じ、まだ見ぬ未来の姿に自分の可能性を見つけます。そうやって、私たちは心を育てていくのだと思います。

映画で世界は変えられる

一人一人の心が豊かであることでこそ、分断を止めることができ、社会を成長させることができる。そんなふうに思うのです。

世界では、終わらない戦争が今なお人々の命を奪い続けています。人間の力ではどうすることもできない天災に人々は向き合い、その先の道を開いていきます。我がことであるとおもえる心を、私たちは育てていきたいし、育てなければならないと思うのです。そしてなにより、そうした素晴らしい映画たちを、誰もが穏やかに観られる世界であって欲しいと、そんな世の中を作りたいと、強く思います。

時代に思いを馳せ、世界に思いを寄せて、今年も高崎からたくさんの映画をお届けします。どうそ健やかに、映画と共に世界を感じていただけたら幸いです。

2023 春