性行為の時に女性を殴る癖がある父、そんな父から逃れるも籍を抜かずに川を隔てた先に住み続ける母、殴られてもなお父の傍にいる愛人。不自然であることが自然な環境の中、父と同じ血を引くことを疎ましく思っている17歳の遠馬。山口県下関市を舞台に、誰かがどこかで遭遇しているかもしれない、そんなリアリティを求めて書かれた原作を青山監督は映像化を通して見事に描き、原作者をもうならせた。光石研と田中裕子という演技派のベテラン俳優の“父親”と“母親”の姿はもとより、二人と対等に演技する若手俳優たちの体当たりの演技も見逃せない。スクリーンから伝わる人間臭さを感じてほしい。
(C)田中慎弥／集英社・2012「共喰い」製作委員会
2013年 1h42 監督:青山真治 出演:菅田将暉／篠原ゆき子
最優秀新進女優賞
