ギリシャ出身の映画監督テオ・アンゲロプロスは、とにもかくにも偉大な映画監督であったと断言します。2012年1月、20世紀三部作の最終章を撮影中、惜しくも交通事故で命を落としたという訃報に、動揺を隠せなかった自分が今でもまざまざと思い出せます。と、同時に、ギリシャの監督の新作を遠い日本で心待ちにし、献身的に応援をし続けた映画配給会社の人々の想いを考えると心が痛みました。映画を見つけ届ける人がいて初めて私たちは作品と出逢えるわけで、その功績にも改めて深謝したいところです。
3部作の2作目『エレニの帰郷』(2008)が2014年ようやく日本で公開されます。それを記念し、10作品を上映します。壮大で美しく重厚な映画の世界。時間と体力を使って見届ける映画の世界。映画祭だからこその企画をご堪能いただければ。
カテゴリー:テオ・アンゲロプロス監督特集
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事の起こりは1899年12月31日。何ものかの手引きによってギリシャの小島にある刑務所から20数名の囚人が脱獄した。アレクサンダー大王と呼ばれる首領の一団だった。同夜、アテネの王宮では英国貴族らを迎えて盛大なパーティが…
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アレクサンドロスは映画監督。映画制作の最中だが、主役に適した俳優がみつからないでいた。そんな折、女優のヴーラと撮影所のカフェにいると、そこにラベンダーの花を売る老人が入ってくる。彼こそ探していた人物だと直感したアレクサ…
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春の雨が降る北ギリシャ・フロリナの村。小学校の教師スピロの家では次女の結婚披露宴がひらかれていた。スピロはこの春教師を辞職し、代々続いて来た養蜂業に従事する事に決めていた。娘の結婚式が終わったら旅支度を始める。ミツバチ…
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アテネで暮らす幼き姉弟ヴーラとアレクサンドロスは、ある日父に会いに行こうと思い立つ。父親の顔さえ知らず手がかりはドイツに出稼ぎに行ったということだけ。お金もパスポートもない子どもたちは、アテネ駅から出るドイツ行き国際急…
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テレビジャーナリストのアレクサンドロスは、取材のため北ギリシア国境に赴いた。ここはアルバニア、ユーゴスラビア、ブルガリア、そしてトルコと接する国境だ。橋野中央にはくっきりと三色の色分けがなされている。青はギリシア、白は…
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映画監督Aは、アメリカから35年ぶりに北ギリシャへ帰郷することになった。ギリシャに着くと、Aはそこである話を耳にする。ギリシャで最初に映画を撮ったマキナス兄弟の、未現像のフィルムがあるというのだ。映画監督Aはギリシャで…
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北ギリシャのテサロニキ。詩人で作家のアレクサンドレは不治の病に冒され、余命わずかと自覚している。全てに別れを告げる最後の一日を、彼は今日迎えるつもりだ。娘・カテリーナの家に向かう途中、アレクサンドレは警察に追われたアル…
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1919年、ギリシャのテサロニキの荒れた地に東を目指して歩く一行がいた。ロシアに移民として行ったものの革命の勃発により難民として戻って来たギリシャ人たちだった。スピロスを長にしたその一行の中には革命で両親を失った孤児・…
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